大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和51年(ネ)1585号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一本件土地のうちのA・B・Cの各部分につき、控訴会社と被控訴人らとの間に使用目的を駐車場とする各賃貸借(正確には、転賃貸借)契約が成立したという控訴人主張事実は、期間の定めの有無の点は別として、被控訴人らの認めるところである。

二そこで、期間の定めの有無について判断するに、<証拠>を総合すると、本件のA・B・Cの各部分を駐車場として使用に供するという前記各賃貸借契約は、被控訴人らがそれぞれ控訴会社からその所有のニユー武蔵野マンシヨンの分譲を受けたところ、相次いで締結されたものであること、控訴会社は、同マンシヨンの分譲販売に際し、訴外株式会社サマリヤ社にその手続を委任し、同社を代理人として、一般に対し同マンシヨンは五台分の駐車場付きであり駐車場の利用者からは料金を徴収する旨の広告をし、問合せに来た顧客に対しても同様の説明をしたこと、被控訴人らは、それぞれ、自動車を所有していたため、駐車場がなければ同マンシヨンを購入しないつもりでいたところ、サマリヤ社を通じての控訴会社の広告を調べその説明を聞いて駐車場付きであることを確かめることができたので、昭和四四年ごろ同マンシヨンが駐車場付きであることを信じてその分譲を受けるに及んだこと、一方、控訴会社においては、同マンシヨンを企画した当初は半地下ないしピロテイー式の駐車場五台分を考えていたが、設計上難しいというので、同マンシヨンA棟前の私道を広げて同所を五台分の駐車場としたこと、駐車場五台分というのは、同マンシヨンの全戸数五二戸の約一割を見込んで計画したものであるが、それがマンシヨン完成後間もなくふさがつてしまい、また被控訴人らからの駐車場の要求もあつたため、控訴会社においては、モデルルーム跡で右私道の奥にある借地をも駐車場とすることとし、そのうち被控訴人らに賃貸したのが本件のA・B・Cの各部分であること、なお、前記サマリヤ社は、控訴会社に対し右モデルルーム跡地につきはつきりした形で駐車場としての契約を結ぶことを進言したのにかかわらず、控訴会社においては、その必要はなくあの一画は自由に使わせるようサマリヤ社に指示したこと、等の事実を認めることができ、この認定に反する証拠はない。

本件のA・B・Cの各部分につき駐車場としての各賃貸借契約が成立するに至つた事情は右のとおりであるところ、本件の全証拠によつても、控訴会社において、右各賃貸借契約締結に当たり、被控訴人らに対し、広告ないし説明をした駐車場とはA棟前の私道部分のことであり、右A・B・Cの各部分はこれとは性格を異にする旨を特に断わつたという事実を認めることはできない。以上の事実関係に照らして考えるに、ニユー武蔵野マンシヨンの分譲を受けるに際し広告及び説明により駐車場付きであると信じた被控訴人らの期待は、法律上保護されてしかるべきであり、同様に同マンシヨンの分譲を受けて先にA棟前の駐車場を賃借した他の居住者との間に法律上の取扱いを異にすべき格別の理由はないものというほかはない。<中略>そして、右に判断したところによれば、本件各賃貸借契約は、A棟前の駐車場の賃貸借契約と同様に、同マンシヨンの分譲を受けた居住者がその所有する自動車の駐車場として賃借部分を必要としなくなるまで存続するものというべきであり、その意味において、何年間という一義的に確定したものではないが、なお、被控訴人らがマンシヨン居住者用の駐車場として右A・B・Cの各部分を必要としなくなるまでの間存続するという期間の定めがあるものというべきである。

(岡松行雄 賀集唱 木村輝武)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!